学生に知ってほしい、モラトリアム人間の欠点とは

モラトリアムと聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか?

大抵の人は「大人になりきれていないダメな人」「目標や熱意に欠けた無気力な人」など、悪いイメージを想像してしまうのではないでしょうか?

ですが、本当のモラトリアムとは、大人になるために必要不可欠な良いものなんです。

ならなぜ、このようなイメージが流布しているのか。

その答えは「モラトリアム人間」という言葉にあります・・・


※そもそもモラトリアムとは何かを知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

モラトリアム人間とは?

まず、モラトリアムとは「社会的にやるべきことをやらずにすむ最後の期間で、大人になる前に、自分のアイデンティティを確立するべく悩み考える期間」という意味です。

これは本来、大人になるのに必要な過程なのですが、ネガティブな側面も同時に秘めています。


そして、このネガティブな側面を特徴として顕著に備えてしまっている人間のことを「モラトリアム人間」と呼ぶのです。

この言葉を初めて使ったのは、日本の医学者・精神分析家である小此木啓吾氏。

彼が著書「モラトリアム人間の時代」のなかで、勉強や仕事を一生懸命することなく、人生の選択を避けて大人になることを拒否する若者のことを指して使った言葉です。

この言葉が日本では一時期流行していたので、その名残でモラトリアムという言葉がいわば風評被害を受けてしまっているわけなんです。


モラトリアム人間の特徴は?

さて、そんな大人になることを拒否してしまうモラトリアム人間たちは、どういう特徴・考え方を持っているのでしょうか。

代表的なものを5つほどあげてみましょう。

ありのままの自分を認めることができない

これがモラトリアム人間の一番の特徴と言えます。

「俺はまだ本気出してないだけ」「本当の私はもっとできる人間なんだ」という思想に取り憑かれ、そこから抜け出せない傾向があるのです。

その結果、自分を客観視することを避け、ありのままの自分を見つめ直せなくなってしまうわけです。


自分の言動に無責任

自分が社会から責任を負うことを免除されているのを良いことに、社会から任される仕事に対して、どこか他人事のように取り組んでしまうという特徴があります。

確かに、アルバイトなどの仕事を投げやりにやってしまったり、集合時間に遅れてしまったりと、学生ならば良いかと思いながら手を抜いてしまった経験があるのではないでしょうか?


決断力に乏しく、現実的で適切な対応を取れない

これはなんでもかんでも自分の思い通りに行おうとするために起こる現象です。

いわゆるトレード・オフ(どちらか一方が得をすれば、もう一方が損をする)になっている選択肢であっても、そのどちらかを選んで行動することができない優柔不断な一面を持っているということですね。


自分の立場の正当化・思い込みが激しい

確かに社会はモラトリアム期間の若者に対して社会的責務を負うことを免除していますが、それは当然のことではありません。

ですが、一部の若者はそれを当然のように思い込んでしまい、「学生なんだから仕方ないだろ!!」と開き直ってしまうのです。

このような正当化を頻繁に行ってしまうのが、モラトリアム人間というわけです。


目標がなく、無気力な人間になってしまう

ありのままの自分を認められず、周囲の人間と本気で関わり合うこともなく、仕事も責任を持って行えないため、やりがいや刺激に欠けた人生になってしまい、無気力で目標のない時間を過ごすことになってしまう、ということです。

「虚無」「不毛」などといった言葉がTwitterなどに頻繁に投稿されるのも、モラトリアム人間の特徴を見事に表現しているのではないでしょうか?


モラトリアムを有意義なものに

さて、モラトリアム人間のネガティブな側面をがっつり紹介してきました。

正直、身に覚えのあることも多いのではないでしょうか?

(この記事を書いている私も、全てに当てはまっているので、耳が痛くてたまりません)

しかし、繰り返しになりますが、モラトリアムは私たちに必要不可欠な、あって良いことなんです。

だから、理想の自分を想像しても良いし、目標がなくたって良い。


ただ、良くないモラトリアム人間にならないために、

自分を客観視する

何か一つ責任を持ってやってみる

この二つを心がけてみてください。


「自分は隣のこいつよりできるやつだ」と考える前に、自分の本当の能力を省みてみる

二兎三兎と欲張ることなく、着実に一兎を追う

自分もすでに社会人と同等の扱いを受けているんだと思って、責任を持って物事をやりきる

実際の社会では数字が全て。だから実績が出るまでしっかりとやりきる。


これらを心がけて過ごすことで、自分のアイデンティティを確立する為のモラトリアムを、有意義なものにすることができるのではないでしょうか?

この記事でまとめた、良くないモラトリアム人間を反面教師に、より良いモラトリアム期間を過ごしましょう!


「Around Teens」

将来に悩む大学生が、自分と同じ立場にある学生に向けて、将来を考える上で有用な情報を発信するメディア。

0コメント

  • 1000 / 1000