モラトリアムとは?その意味は?大学生がなりがち?

若者に対してよく言われる言葉「モラトリアム」。

しかし、そもそもモラトリアムという言葉はどういう意味を持つのでしょうか。

世間では、大学生=モラトリアム というイメージが強く、

「大人になりきれていない」若者のことを指しているような気がしますよね。

しかし、時代とともにモラトリアムが示すものを変わってきています

この記事では、そんなモラトリアムという概念自体を解説したいと思います。

モラトリアムとは?

まず、モラトリアムという言葉の成り立ちから知ることにしましょう。

モラトリアムはラテン語の「mora(遅延)」「morari(遅延する)」というところからきた言葉で、元々は金融の世界で支払いを遅らせる、つまり「借金返済を一定期間猶予する」という意味で使われていました。

災害や戦争など情勢の急変が起こった時に、社会的混乱を防ぐための措置として国が行っていたものだそうです。


ですが、それ世に広く知られている方の意味ではないですよね。

普通モラトリアムという言葉を使うときは、「心理社会的モラトリアム」のことを指しています。

この言葉は、発達心理学者エリクソンがライフサイクル理論(人が生まれてから死ぬまで心理的な成長・発達を続けるという理論)の中で、青年期(12~22才)に特徴を表すために使われたのが始まりでした。

彼曰く、青年期に至った人は、今までの自分では"社会的に望まれるヒト"にはなれないと感じるため、自己の個性(アイデンティティ)を見直し、再構築するプロセスを踏みます。

そして、青年期の人々には社会が、大人が果たすべき社会的責任や義務を果たす必要がない執行猶予期間を与えるため、その執行猶予を指して、モラトリアムと名付けたのです。


ここまでの内容をまとめると、モラトリアムとは

社会的にやるべきことをやらずにすむ最後の期間で、大人になる前に、自分のアイデンティティを確立するべく悩み考える期間」といえるでしょう。


モラトリアムって良い?悪い?

ここまでの意味をそのまま捉えると、青年期に当たる中高生・大学生は、全てモラトリアムになっているということができます。

つまり、モラトリアムという言葉は良し悪し関係なく、みんながなるものなんです。

さらに、この言葉を作ったエリクソンは、モラトリアムを「一人前の大人になって社会へ羽ばたくために必要不可欠な準備期間」と捉えています。

つまり、本来はとてもポジティブな意味を持っていたのです。


なのに、なぜ「大人になりきれていない」という悪いイメージがついてしまったのでしょうか・・・


それは、モラトリアムの否定的側面を論じた小此木啓吾氏が、著書「モラトリアム人間の時代」にて作った、モラトリアム人間という言葉が流行ったからではないでしょうか・

この言葉は、青年期を抜け、大人になるべき時期にきたにも関わらず、大人になろうとしない人を指して使われたもので、かなりマイナスな意味で使われます。

この言葉が流行ったものですから、日本ではモラトリアム=大人になりきれていないダメな人たちというイメージが定着してしまったのです。


ですが、何度も言いますが、モラトリアムは大人になるために必要なステップです。

ですので、私たち学生は、「モラトリアム人間」にならないように気をつけつつ、

「モラトリアム」を精一杯謳歌することが求められているのです。


まとめ

・モラトリアムとは、もともと返済の執行猶予を意味する金融用語

・それが転じて、大人の責任を免除されながら自分のアイデンティティを再構築する青年期の人を指すようになった

・日本では、モラトリアム人間という言葉が流行ったため、大人になりきれないダメな人というイメージが定着してしまっている。

・本当は、大人になるため必要不可欠な準備期間なので、モラトリアムの否定的な部分を意識して直しつつ、モラトリアムを謳歌するのが良い。


この記事では、モラトリアムの概念を紹介するに止まりましたが、これからのモラトリアムや悪いモラトリアム人間の特徴を述べながら、モラトリアムを謳歌する術を紹介する記事がありますので、そちらもぜひご覧になってみてください。



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